「ギガスター」のイノベーション

「イノベーション作法」で見る「ギガスター」のイノベーションマッピング

先日「イノベーションの作法」というテーマで濱口秀司さんを講師に招いた講演会に参加しました。 その中で、イノベーションを生み出すためには、従来の考え方の中に横たわる「bias(バイアス)」というもの構造化し、見える化することで、新しい発想の軸を見出すという「作法」について学びました。 とても気づきのある講演会でしたので、私たちが推進している「ギガスター」について、この考え方で分析して、従来の投影式のプラネタ…リウムと、直接星式のプラネタリムである「ギガスター」の違いを見える化してみました。

ポイントは、従来のイノベーションの方向性を表現する抽象化された軸を見出すとともに、それを使って構造的に可視化することです。 それをうまく行うと、その中に、「bias」が見えてくるということです。 そして、その「bias」に沿っているかぎり革新的なイノベーションは生まれない、その「bias」を破壊する方向で思考をすることが、濱口さんの言う「イノベーションの作法」ということです。
そこで今回は、「プラネタリウムが提供する価値を生むための資源」に着目して、その、A.専門性・ハイテク性 と、B.集中度 の異なる2軸を採用して、従来の投影式プラネタリウムと、直接式プラネタリウムである「ギガスター」をマッピングしてみました。 また、プラネタリムでの星空体験は、星を映し出すプラネタリウムそのもの(ハードウェア)と、その星空の下での番組や解説などのコンテンツに分かれるので、両方とも同じ軸でマッピングしてみました。

ギガスターのイノベーションマップ

ギガスターのイノベーションマップ

すると、昨今注目されているプラネタリウムは、ハードウェアとコンテンツともに、「専門性・ハイテク性」「集中」という、右下の方向に沿って、イノベーションが展開されていることが分かりました。
プラネタリウムは、どんどん高度化し、「世界で最も先進的なプラネタリウム」でギネス世界記録認定されている五藤光学研究所の「ケイロンⅡ」や、カリスマ技術者として有名な大平さん率いる大平技研の「メガスター」などは、もはや、普通の会社では容易に手が出せないような、高度な技術や専門性のもとで開発されたものになっています。 また、番組や解説についても、高度なデジタル技術を駆使した3D映像なども使われた、1本制作するのに何百万円も投資が必要になるようなコンテンツが展開されています。またプラネタリウムの解説も、そうしたハイテク装置を駆使できる一部の学芸員さんによって行われています。
こうしたなか、「ギガスター」は、今まで説明してきたような、天体望遠鏡を駆使して探究したくなるような星空体験を提供するところに顧客価値を設定しました。 そして、そうした体験を求める子どもたちを価値提供先としてターゲットし、その実現性をいろいろ探った結果、「直接式」のプラネタリウムに帰着しました。
この技術は基本「ローテク」で、それを創りだすためには目が飛び出るような専門性は必要になりません。サイズが小さければ、小学校4年生でも、私のFacebookのタイトル画像のような星空を生み出せます。 こうした「ローテク」の軸を採用したことで、全国の一般市民がその実現のために参画可能となりました。 その結果、より多くの人々が参画し、手作りで世界で最高レベルの星空を生み出す「クラウドマニュファクチャリング」という生産システムを展開することとなりました。 従来、高度に管理された工場で生み出されてきたハイテク製品であった投影式プラネタリウムとは異なり、「ギガスター」は全く新しいモノ創りのスタイルにたどり着きました。
また、高度なデジタルコンテンツで価値を届けるのではなく、「本物に限りなく近い星空」のもとで、天体望遠鏡を使って実際の星空で日常的に星空に接している多様な経験を持つ地域の天文愛好家が解説者として参画し、直接その言葉で子どもたちに星空の素晴らしさや学びを伝えることができる環境を実現しようとしています。 これも、設備費用が200万円以下で、日周運動や年収運動など、高度な操作技術を必要とせず、ただ美しい星空を再現する「ギガスター」だからこそ可能となりました。
こうした「ギガスター」のイノベーションを、このマップにプロットしてみると、ハードウェアやコンテンツともに、従来の投影式プラネタリウムのイノベーションの「bias」を破壊して、まったく新しい場所に位置することが分かります。
もともと、こうした「イノベーションの作法」を意識して「ギガスター」をスタートしたわけではありませんが、奇しくも、「biasを破壊する」方向で、ギガスターのイノベーションは行われていたことが分かりました。
一方で、濱口さんは、本当に革新的なイノベーションには、つぎの3つが成立するということです。

1.誰も見たことが無い。全く新しいもの。
2.実現可能なもの
3.賛否両論が交わされるもの

つまり、今まで誰も見たことが無い、全く新しいものは、その領域にだれも踏み込んだことが無いといういみで、可能性がたくさんあるということ。 一方で、絵に描いた餅ではだめで、我々は小説を書いているのではなくて、事業を行って実際に価値を生み出さなくてはいけないのだから、その実現可能性がなければだめであるということ。 そして、最後に、そのアイデアを聞いた人のなかで、賛否両論に意見が分かれるものが重要、ということで、みんなが口をそろえて「いいねぇ!」というのは、みんなの「bias」に沿ったものであるので、それは革新的なイノベーションにはならないということでした。
私たちは、世界で初めて、10億個の星空が輝く、天体望遠鏡で観察するとどんどん宇宙の姿が見えてくる「ギガスター」プラネタリウムを提案しています。 これは、今まで誰も見たことが無い、まったく新しいものになると思います。
そして、それは、「直接式」プラネタリウムを採用することで、実現可能なものとして、現在製作に向けて順調に作業をすすめています。
一方で、このアイデアを話すと、みなさんから賛否両論が交わされます。私の所属する別のNPO団体では、そのようなリスクのある事業に資金を投下することができないということから、仕方なく、別団体を立ち上げて活動を推進するようにしました。 このように、「ギガスター」は、「本当に10億個の星を再現できるのか?」「みんなで創ることができるのか?」「本当に感動するのか?」などの「?」のオンパレードで、賛否両論が交わされるものです。
ということで、「ギガスター」は、どうも、革新的なイノベーションに見られる条件をいろいろ備えているようです!
楽しみですね! みなさんも、このイノベーションの実現を、ご一緒しませんか?

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