100億倍のダイナミックレンジを目指して 第3回 その2

今回は、「美しい星空」の二つ目のポイントについてお話します。

2.背景の宇宙空間が、限りなく「暗い」こと。
都会の空から星が無くなってしまったのは、街の灯りで空が明るくなってしまって、暗い星が見えなくなってしまったからです。
人類が灯りを手にする前、地球の夜空を照らす灯りはとても少なくて、月の無い夜空には、いつも満天の星空が広がっていたことでしょう。現代でも、人工の光が少ない山奥や、砂漠の真ん中などでは、真っ暗な夜空を背景に、満点の星が輝いて見えます。

プラネタリウムでも、係員の方から「投影中は、携帯電話は使わないでください。」と注意をされるのは、携帯電話の画面のわずかな光でも、その光がドームを照らしてしまって、背景の空が明るくなってしまって、暗い星が見えなくなってしまうからです。

もちろん人間が安全に暮らすためには、灯りは不可欠ですが、夜空に放たれてしまう不必要な光は工夫すれば削減できるものも多く、エネルギーの無駄使いだけでなく、生態系や人間社会に悪い影響を与えることが問題となっており、「光害(ひかりがい)」と呼んでその削減を目指して環境省からガイドラインも出されています。

こうしたなか、環境省が、1998年から毎年夏と冬に全国の一般市民に参加を募り行っている「全国星空継続観察(ぜんこくほしぞらけいぞくかんさつ)」事業があります。これは、肉眼や双眼鏡などを使って星空を観測し、参加者が光害や大気汚染などの環境問題への関心を持ってもらおうと始められたものです。
わたしも何度か参加したことがあります。事業仕訳の関係で、残念ながら平成25年から中止されてしまったのですが、 下記のリンク先にある報告書を見ると、光害(ひかりがい)の実体がよくわかります。

http://www.env.go.jp/kids/star.html

それでは、本当に美しい星空は、どれくらい空が暗いのでしょう?

上記HPの報告資料の中にも登場する、愛知県北設楽郡東栄町は、愛知県の天文ファンなら誰でもが知る天体観察のメッカで、調査地点の中でも空の暗さはトップクラスです。
空の明るさは、単位面積(1秒角四方の面積)あたりの空の明るさを等級で表しますが、東栄町のようなトップクラスの夜空では、1平方秒あたり、22等級ほどの明るさとなります。一方で、大都市の空では、これが16等級となり、6等級、すなわち、250倍も「明るい」空になってしまうわけで、人間が見えるのが6等星ですから、都会の皿では1等星がようやく見えるという状況も、理解できますね・・・。

このように、淡い星々が輝く美しい星空を再現するためには、背景(バックグランド)の空が限りなく暗いことが重要になります。
冒頭のように、プラネタリウムではお客さんの協力があれば理想的な「真っ暗な空」を作りだすことができますが、最近話題の「デジタルプラネタリウム」では、プロジェクターを使って星空を再現している関係で、背景の「黒」を完全に真っ黒にすることが原理的に難しいようで、従来のような「漆黒の背景」を再現することが難しくなっているようです。デジタル技術を用いて迫力ある映像が楽しめる利点がある反面、本来の「美しい星空」を少し犠牲にしているのでしょうか、個人的には少し残念な気がします。

ドーム壁面に直接星を形成する「直接星式プラネタリウム」であるギガスターでは、ドーム素材にアルミ箔を使用することで、背景の光を完全に遮断するため、従来の「投影式プラネタリウム」と同様に「真っ暗な空」を再現できます。

このように、ギガスターでは、

 1.すべての星が、限りなく「点」で光っている。
 2.背景の宇宙空間が、限りなく「暗い」。

という特徴を持つことで、美しい星空を再現しています。

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