100億倍のダイナミックレンジを目指して 第3回 その3 (最終回)

今回は、最終回として、「美しい星空」の最後のポイントについてお話しするとともに、ギガスターが美し星空を目指して、100億倍のダイナミックレンジを目指していることをお話します。

3.星々が本来持つ「明るさ」「色彩」で輝いていること。
先に、ギガスターで再現する星の明るさは、最大で20等級であるとご紹介しました。また明るい星は、たとえば金星が最も明るい時に、マイナス4.7等星にもなるというお話をしました。話を簡単にするために、金星をマイナス5等星とすると、ギガスタープラネタリウムでは、-5~20等星、幅にして、25等級の星の明るさを再現しなくてはいけないことが分かります。

先に、「1等級は、2.51倍」「5等級で100倍」というお話をしましたが、それから考えると、25等級の違いは、5等級x5回=100倍の100…倍の100倍の100倍の100倍ということになり、全部で100億倍の違いになります。

100億倍!

現在の世界人口は約70億人と言われていますが、たとえば、一番暗い星を、一人の人にろうそくを手に持って表現してもらうとすると、一番明るい星を表現するためにはその100億倍の明るさの灯り、それは地球上のすべての人に集まってもらっていっせいに灯しても、まだ足りない灯りを灯さなくてはいけない計算になります。

先に紹介した、「すべての星が「点」で輝くこと」と言う条件から、ギガスターでは、0.2mmの直径ですべての星を再現しようとしていますが、ギガスターに課せられたチャレンジは、この0.2mmという限られた面積の中で、一人が灯す「微かな灯り」と、世界の人が灯しても足りないくらいの「眩いばかりの灯り」、明るさで言うと100億倍の明るさの違いを、再現することになります。しかも!すべての星に、その星固有の「色」を再現する必要があります!

0.2mmの中で、100億倍の明るさの違いと、星の色の違いを再現すること

これが、美しい星空を再現しようとチャレンジする、ギガスターに課せられた課題でありました。

そんなことは、どのようにして達成するのでしょうか?
それはどれくらい難しいチャレンジなのでしょうか?

それを考えるために、投影式のプラネタリウムが星の明るさを表現するのに従来から採用してきた「面積による再現」による方法を検討してみましょう。

★従来のプラネタリウムの原理
従来の投影式プラネタリウムでは、「恒星原版」という板に、星の明るさに応じた直径の微細な穴を加工して、裏から強い光を当てて、そこを通過する光を、投影レンズでドームの壁面に映写することで、明るさの異なる星たちを再現しています。

たとえば、七夕のおりひめ星の「ベガ」は約0等星ですが、その星が、ドーム壁面で5mmで投影されているとします。
すると、それから5等級暗い、5等星を表現するには、面積で100分の1、直径で10分の1の星を投影すれば良い計算になります
これは、恒星原版で開けられているベガの穴の、10分の1の大きさの穴を明ければ良いことになります。
その調子で、10等星の星を再現するには、さらに10分の1の穴。15等星の星であればさらに10分の1の穴。最も暗い、20等星の星はさらに10分の穴にすればOKです。
ではそれは、ベガの穴に比べると、10分の1の10分の1の10分の1の10分の1、合計1万分の1の大きさにしなくてはいけません。

恒星原版は、ドームの大きさにもよりますが、投影すると数十倍の大きさの星になります。仮に50倍に拡大されるとすると、恒星原版での「ベガ」の星の穴は、0.1ミリになります。すると、20等星の星は、その1万分の1で、0.00001ミリ、すなわち、0.01ミクロンの穴を明ければOKということになります。
0.01ミクロンという寸法は、光の波長が約0.5ミクロンであることから、通常の方式では加工できない領域となり、とても採用できる仕様ではありません。
現実的な穴径ということで、20等星の星を1ミクロンで再現したとすると、ベガの穴は1cmになってしまい、そのまま投影するとドームでは50cmの星になってしまいます(^^;
これはもう星ではありませんね(^^;

こうした限界があるため、投影式のプラネタリウムでは、明るい星を専用に投影するための強力な光源からなる専用投影器を用いているようです。このようにしても、20等級までの10億個の星を再現することは困難なようで、現在最も暗い星は、16等星までということです。

また、「星の色」に至ってはさらに困難で、投影式のプラネタリウムでは、明るい星を除いて、星の色は再現されていないようです。

★最終回のまとめ
さて今回は最終回ですが、じつは大変申し訳ないのですが、ギガスターがどのような技術で、この「100億倍のダイナミックレンジ」と「すべての星の色の再現」を果たしているのかと言う詳しいところは、企業秘密ということでまだお話ができなんです(^^;

「なんだそんなことなら話題にするな!」

と言われそうで申し訳ないのですが、公開できる段階になったら詳しくご紹介させていただきますので、今しばらくお待ちくださいませ!

とうことで、どうやって実現するのかは置いておいて、ギガスターでは、従来の投影式プラネタリウムとは全く異なるアプローチにより、美しい星の3つの要素を高いレベルで実現して、天体望遠鏡を用いた、本格的な天体観察にも耐えうる、星空を実現しようと思っています。

  1.星が、シャープに「点」で光っていること。
  2.背景の宇宙空間が、限りなく「暗い」こと。
  3.星々が本来持つ「明るさ」「色彩」で輝いていること。

ということで、2014年3月末までには、まずは平面型のギガスターを完成させ、これを実際に皆さんにも見ていただける機会を設けたいと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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