100億倍のダイナミックレンジを目指して 第3回 その1

第2回は、ギガスターが掲げた目標を紹介しました。 そんな目標を実現するために、ギガスタープロジェクトが挑んでいる「100億倍のダイナミックレンジ」への取り組みを紹介しようと思いますが・・・・その前に、「そもそも、星の美しさとは?」について考えておく必要があるのでそのお話をします。

★ そもそも、「美しい星空」って、何だろう?
ギガスターの目標は、「子どもたちが、双眼鏡や天体望遠鏡を使って自らの「眼」の能力を拡大して、好奇心の赴くままに、宇宙を探究できる「星空体験」の機会を提供すること」です。そのモチベーションは、やはり、「望遠鏡を使ってみえる星空の美しさ」だと思います。 満天の星空の下で、実際に双眼鏡や天体望遠鏡を使って星空を観察したことがある方ならわかるのですが、望遠鏡を使ってみる星空は、肉眼で見る星空に比べると、本当に比べ物にならないくらい美しいものです。
でも、「美しい」とか「すばらしい」とか言葉で表現しても、それをみなさんにうまく伝えることは難しいので、そこで、私なりに、次の3つの要素で、「美しい星空」を定義しました。

1.星が、シャープに「点」で光っていること。
2.背景の宇宙空間が、限りなく「暗い」こと。
3.星々が本来持つ「明るさ」「色彩」で輝いていること。

これを言葉で表現すれば、

「漆黒の宇宙空間の中で、あるものは微かに、そしてあるものは眩いばかりに、針で突いたような一点から、星それぞれの色彩の光が放たれている様子」

というところでしょうか。
これはいったいどういうことなのでしょう? まずはそれぞれの要素について、3回に分けて、説明したいと思います。

1.星がシャープに「点」で光っていること
星は、地球に比べてとてつもなく大きい天体ですが、とてつもなく遠くで光っているので、地球から見ると、その姿はもはや大きさを認めることができない、点のような存在に見えます。では実際、どれくらいの大きさに見えるのでしょう?
地球から最も大きく見える恒星は、オリオン座の四角形の左上の赤い星、ベテルギウスで、見かけの大きさ(視直径)は、約0.047秒と測定されています。 “秒”というのは角度を表す単位で、分度器の1°の3600分の1の角度であり、0.047秒というのは、野球ボールを、400km離れた所に置いて見た時の大きさと同じくらいです。 ここまで小さいと、どんな大きい望遠鏡でも、地球上では大気の揺らぎの影響の方がずっと大きいので、「丸」として観察することはできません。丸く見えても、それは大気の影響で像がぼやけてしまって見えているのであって、星自体はやはり「点」なのです。 数学的に「点」は位置はあるものの面積を持たないものとして定義されていますが、まさに星の姿は「点」そのものなのですね。
星が「点」で光っているとなぜ美しいのか? これを説明するのはなかなか難しいのですが、もともと私たちが認識している「星」は、「点」で輝いているので、望遠鏡で覗いた時にそれが、ぼんやりとした丸い姿になってしまっては、美しくないのだろうと思います。あと、面積を持った姿になると、単位面積当たりの輝度が低くなるので、薄暗くぼんやりとした姿になってしまうので、暗い星はその姿が見えにくくなってしまいます。また、2つの星が近接して輝いている様子も、重なってしまってひとつの星にみえてしまいます。 やっぱ、「シャープ」ではないんですね。

★星々が「点」で輝く、名古屋市科学館の「BrotherEarth(ブラザーアース」
この効果を実感できる、すばらしいプラネタリウムが、名古屋市にあります。 それは「BrotherEarth(ブラザーアース)」です。 ここで使われているプラネタリウムは、ドイツの「Carl Zeiss」の最新式の投影式プラネタリウム「ユニバーサリウムⅨ」という装置で、光ファイバーを用いて光を効率的に使用することで、恒星原版の穴の大きさを小さくすることが可能となり、投影している全ての星が、肉眼で「点」として感じられる、1分角以下の大きさで輝かせることが可能となっています。
「美しい星空は、星が限りなく「点」で光っていること」
これを実感できるので、ぜひ一度、その美しさを体験してみてください。
ただ残念なのは、「BrotherEarth(ブラザーアース)」は、肉眼で見える星空の美しさに絞っているとのことで、6等星までの星のみとなっています。

ギガスタープラネタリウムでは、天体望遠鏡を用いた観測でも、同様な美しさを再現するために、約20等星までの星、10億個のすべての星を、0.2mm以下の大きさで表現します。ギガスタープラネタリウムは15mドームなので、0.2mmの星は、5.5秒角に相当し、12倍の倍率の望遠鏡で観察しても、「点」で見える計算になります。

ということで今回は、
「美しい星空は、星が限りなく「点」で光っていること」
が重要であり、「ギガスターではそれを実現するために、0.2mm以下の大きさで星を再現することを目標にしている」ことを紹介しました。

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