GIGASTAR®★ギガスターのルーツに迫る(最終回)  ・・・ 蘇る星空への情熱 LEDプラネタリウム in 1979 ・・・

最終回. 受け継がれる、星空への情熱

ドーム内の照明を落とすと一瞬目の前は真っ暗になります。
オリオン座を形作る1等星や明るく光るシリウスはすぐに目に飛び込んできますが、大部分の3等星や4等星の星たちはすぐには見えません。
キラキラ光るイルミネーションと違って、星空はずっと地味なのです。だからプラネタリウムもそう派手ではありません。
やがて暗闇に目が慣れてくるにつれて、3等星から4等星の星たちが、どんどんと見えてきました。

苦労してみんなで作り上げた555個のLED星は、完璧に遮光された真っ暗な空の上で、静かに微笑むように、光っていました。
星の色が緑という不自然さと、星の瞬きが再現されていないことから、本物の星とは少し違った雰囲気でしたが、静かな儚(はかな)い光は、見ていて溜息が出るほど、美しい光でした。

歓声が上がるのかなと最初は思っていましたが、そこには静かな感動がありました。私たちは、はじめて出会うLED星の、不思議な美しさに、みな黙り込んで見入りました。

やがて口々に、すごい、きれいだ、やった!できた!という声が広がり、それは喚起の声に変わっていきました。私はドームの真ん中に寝転がって、視野いっぱいに広がる星空を見ながら、涙を流しました。

こうして、私たちのLED式プラネタリウムの星空は、無事完成したのです。

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しかしこれで作業が終了ではありません。学園祭で生徒や一般の皆さんに公開して、楽しんでもらわなくてはいけません。
そのためにはまだやらなければいけないことは、たくさんありました。
教室から机を持ち出して丸く並べ、今まで地面に設置していたドームを載せると、ドームはいちだんと大きく見えました。
LED式プラネタリウムは、星座ごとに点灯を制御できるので、星座を個別にハイライト表示できるように、配線を組み替えました。
予算が少なくて高価なスイッチが買えないので、家から洗濯ばさみを持ってきて、皮をむいた電線を巻きつけてスイッチ代わりにしました。
また感動的な上演にするために、仲間が自慢のオーディオ装置をドームに持ち込み、地平線を茜色に灯す夕焼け装置も自作しました。
ドーム内に紐を張り、電池を抱いたLED流れ星を遠隔操作で落として流れ星にする「からくり」も仕込みました。
日の入りの音楽は、ホルストの惑星組曲の「金星」にしました。朝明けは、宇宙戦艦ヤマトの主題曲の女性スキャット版を使いました。

こうして、1979年9月14日(金)、半田高校の学園祭「柊祭」が始まりました。

学園祭での人気は抜群で、20人の定員は毎回満員でした。
上演の間に裾の暗幕をたくし上げて熱気を入れ替えても、ドーム内の暑さを解消することは困難で、急遽バケツに飲食店用のかち割りを入れて、職員室から借りてきた扇風機で冷風を送ってしのぐという状況でした。
私は、美しい星空を一瞬でも見逃したくはないという思いから、すべての上演で、解説か場内整備に入りました。

最終回が終了後、仲間で集まり、仲間たちだけの上映会を行いました。
解説が終わり、宇宙戦艦ヤマトの夜明けのスキャットの音楽のなか、星たちが一つ一つ消えていきます。私は涙が止まりませんでした。

こうして私たちの4か月の挑戦は大成功に終わり、学園祭の文化部門のグランプリを受賞して幕を下ろしました。

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苦労して作ったドームも、撤去する必要があります。私たちは翌年のためにLED星を回収した後、ドームを解体撤去しました。
不思議なもので、私は残念な気持ちは全く湧きませんでした。私の中には達成感と充実感に満たされていました。仲間も一緒の思いだったと思います。

プラネタリウムは無くなってしまいましたが、私たち地学部のメンバーの中には大きなものが残りました。翌年は一緒に活動した1年生の後輩が中心となって活動は引き継がれました。受験が迫っている3年生も全面的にサポートして、さらにグレードアップしたLEDプラネタリウムが学園祭で披露されました。

半田高校の柊祭での「LEDプラネタリウム」は、その後、地学部の伝統的な活動となりました。

部員減少で地学部が廃部になってからも、生徒会や実行委員会が結成されて、20年近く引き継がれたと聞いています。活動を初めたチームの一員として、これはとても嬉しいことです。

青春時代に、ひと時ではあるもののあの苦労を経験し、美しい星空を創り上げた時の感動を共有する半田高校の卒業生が、少なくとも数十人は居るということに、私はかけがえのない縁を感じます。
ひょっとすると、この記事を見ている皆さんの中にも、懐かしく読んでいただいている方がいるかもしれませんね。「たしか友達がメンバーだったな」という方もいるかもしれません。
SNS全盛の今、この伝統を受け継いできた皆さんとつながって、思い出を語る機会ができることを、実は本気で、夢見ています。(^^)

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半田高校地学部の「LED式プラネタリウム」は、まさに、「直接星式プラネタリウム」でした。投影式の星像に満足できず、自ら光る星を、天井に配置するという発想は、ギガスターにそのまま引き継がれています。

あれから34年。時代は大きく変化しました。
LEDは白色のLEDが使えるようになりました。
サイズは直径3ミリから、0.8×1.6ミリと小型になり、価格も10分の1になりました。
マイコンも発展し、今ではすべての星をマイコンで制御して、さまざまな季節の星の瞬きを再現することも可能となりました。

高校生だった私たちには、費用やマンパワーの関係で、4等星の星たち555個の星を再現するのでせいいっぱいでしたが、ギガスタープロジェクトでは、10億個の星のうち、眼で見える6等星までの星、約9600個をLEDで再現しようとしています。

しかし、ずっと変わらないこともあります。それは、私たちの頭上で輝く星たちの美しさと、それを再現してみたいと思う人間の情熱です。

大げさかもしれませんが、高校時代のあの経験は、自分にとってのベースになっているような気がします。あれから35年、こうして思い出して書いているだけで、胸が熱くなります。
そして今、ギガスターの実現に向けて、あの情熱が再びこみ上げていることに、喜びを感じます。青春時代の情熱を忘れずに、ギガスターの実現に向けて、進んでいきたいと思いを新たにしました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

おわり

※この記事を、この素晴らしい経験をともにした、今は亡き友と、
そのチャレンジを暖かく見守り、支えてくれた今は亡き父に捧げます。
お父さん。
GIGASTARを見せられなくてごめん。でも絶対に完成させるから
天国で、見守っていてください。

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